あるきづき

これまで歩いてきた人生と、これから歩いていく人生で気づいたことを綴っていくブログ 〜ご飯と本と、時々、映画〜

詠み人知らず

中学の国語の時間、気づいたことがある。

 

自分の理想は、『詠み人知らず』な生き方だな、と。

 

現代文の解説を聴き流しながらぼんやりと眺めた国語便覧には、たくさんの和歌が載っていた。

天皇、僧侶、三十六歌仙…名だたる人々の中にぽつりぽつりと顔を出す『詠み人知らず』の文字列に目が吸い寄せられた。

 

「歴史に名を残す」ことが『生きた証』だとしたら、この詠み人には「生まれてきた意味」がない。

でも現実は、「いつ何処で誰が詠んだか知らないが、いいものはいい」と語り継がれている。

それはつまり、「歌そのもの」が『詠み人』であり、『生きた証』。

シンプルで、潔くて、「あぁ、なんてカッコイイ生き方なんだろう」と心が震えた。

 

大きなことを成し遂げられなくてもいい。

名前も、なんの作品も残せなくてもいい。

 

けれども、何処かの誰かに

「何処の誰かは知らないが、心動かされたなぁ」なんて一瞬でも思って貰える生き方ができたらいい。

 

そんな理想に想いを馳せつつ、承認欲求の大海原を漂う毎日。

 f:id:EllieHK:20161019222426j:image